熊本・大分震災を福岡から支えよう

4月14日に起こった熊本・大分震災にどう立ち向かうか。力と知恵を集めましょう

福岡市による熊本・大分震災への支援(4/20)

 

all-kyushu.hatenablog.com

 続きです。昨日のエントリーでは「今回の熊本・大分震災への支援で、福岡市はこれまでとは違うアプローチをしようとしている」というお話をしはじめたところでした。

「福岡方式=被災した自治体に負担をかけない自己完結型支援」とは何か

昨日の段階で、「福岡方式は違う!」と大見得切ってこんなブログを書き始めたのですが、実のところ「何が違うのか?」というのはまだハッキリとはわかっていませんでした。というのも、事態は常に動き続けているからです(まあ当たり前ですけどね、地震被災された方々もみんな生きて動いているんですから)。福岡市側は実際に起こしている活動と並行して、常に次の行動フェーズを考えているのでしょう。こちらからはその活動だけしか見えないのですが、それでもそのスピード感は体感できます。

 とはいえ、話をはじめた都合上タイムラインに沿って振り返っていきます。福岡市が動かしている現実はブログ主の筆よりはるかに速く、そしてそれが被災者の方のために発揮されている速さであることはむしろ喜びです(遅筆の言い訳としては上等な部類だと思いますが、どうでしょうか)。

 

さて、昨日のエントリーでは「福岡市は支援者の細かいニーズを把握するために大胆な手を打った。それは……」というヒキでした。この問題を解消するために福岡市役所がまず取った策は、「避難所への物資直送」です。熊本市では、熊本県民総合運動公園を物資の集積地として全国からの救援物資を集めています。しかしあまりにも種類と量が多すぎて、その分類だけで多大なマンパワーと時間をとられてしまう。阪神淡路、東日本などの大災害で繰り返されてきたことです。10トントラック1台分の荷物をさばくのに1時間もかかってしまえば、被災者の方へ物資を送るのも滞り、付近の渋滞も引き起こす。

これを解消するために、福岡市はまず自前で物資の細かい仕分けを行い、搬送も熊本県民総合運動公園を経由せず、直接避難所にトラックを送ることにしました。そのために、福岡市は前進拠点の設営」を行います。熊本市の北東に位置し、比較的被害が少なかった菊池市(それでも1000人を超える被災者の方が避難しています)に福岡市職員100人を送り込んだのです。福岡市から陸送された物資はこの拠点に集積されます。この報道資料だと「おにぎりマシン」の方が目を引きますが(これも大きな役割を果たしているのは間違いありません)、ポイントは100人の職員と50台の車両です。彼らは担当する熊本市東区の48か所の避難所を回り、被災者のニーズを把握します。そして菊池市前進拠点に戻ると、そこに集積された物資をすぐに避難所へと届けるのです。

このプロセスで重要なのは、被災自治体である熊本市がタッチしていないこと」です。熊本市は、市役所こそ健在ですがあまりにも多くのタスクを抱えています。被害を受けた建築物の安全性の確認、電気水道ガスなどライフラインの確保、医療体制の拡充などなど、被災者支援以外にも緊急性の高い要件があまりにも多すぎるのです。これは被災自治体ならば当然のことでもあるのですが、だからこそ福岡市はその負担を軽くしようと動いたのです。高島宗一郎市長は、Facebook

理想としては、各地域ごとに支援する自治体を決めて、その自治体が被災自治体に負担を掛けずに自律的に避難所を支援していけば、
被災自治体の一ヶ所に集中している過度な負荷を分散出来るのではないかと思います。
アウトソーシング出来ることは出来るだけ早く、他の自治体やボランティアなど外の力に任せることが必要だと思います。

と語っています。しかし実際問題としては、震災発生直後に100人規模の職員を送り込み、有機的な対応をとる体制を作るだけの規模を持つ自治体は決して多くはないでしょう。そういう意味では、福岡市という人口100万人を超える地方中核都市が、ほとんど被災していない状態で熊本市の近隣に存在した、というのは奇跡のような偶然とも言えるでしょう。

 

そして福岡市が「自己完結型支援」を行う能力を持つ自治体だ、というのはなにも人口規模だけの話ではありません。福岡市は九州の拠点都市として、陸・海・空すべてにおいて強力なハブ都市でもあるのです。陸路では博多駅を経由するJR各線と九州自動車道などの高速道路網があり、海路は年間入港数30000隻・海上出入貨物3000万トンを超える博多港があります。さらに空路では貨物取扱量50000トンに迫る福岡空港を持ちます。そして最大の特徴としては、この陸・海・空の輸送拠点がわずか2.5㎞の距離にあり、相互に活用できるということなのです。緊急度と物資の量に応じて最適な輸送手段を選び、ベストな形で物資を届けることができます。

もちろんすべてが順調に進んでいるとはとても言えない状態なのはよくわかっていますが、それでも福岡市は自らのポテンシャルを十全に生かした支援に取り組んでいるのです。福岡市では義援金や物資の直接持ち込みはもちろん、物資の郵送での受け入れも行っています。毎日アップデートされるウェブサイトをぜひご覧いただき、できる限りの支援をしていただければありがたいです。